ここ数年、スタジオワークの現場で、「〜してもいいですか?」「〜の方がいいでしょうか?」といった“疑問形”でのやりとりが増えてきました。 一見、自然な会話のように見えますが、エンジニアとして関わっていると、そこにある種の違和感を覚えることがあります。

本来、サウンドエンジニアは「技術の提供者」であり、「判断の最終責任者」ではありません。 しかし、疑問形で尋ねられることで、結果的に“選択の責任”を預かる形になることが少なくありません。

これは、ただの言葉遣いの変化ではなく、会話の主導権が無意識のうちにエンジニア側へ移っている構造だと感じています。

2025年の今、私たちは“選択すること”に慎重になりやすい時代に生きています。

これらの背景を踏まえれば、疑問形の会話が増えることも、自然な流れなのかもしれません。

それでも、現場ではこうしたやりとりの積み重ねが、 「エンジニアが決めた」→「その結果はエンジニアの責任」といった構図に発展する可能性があります。

これは、技術職としての立場を超えて、制作全体の方向性にまで関与する重みを背負うことになりかねません。

そこで私自身は、以下のような姿勢を意識しています。

このような応答によって、お互いが安心して制作に臨める空気が育っていくように思います。

2025年の空気感の中では、 「エンジニアが尋ねられたことに答える構造」もまた、時代に沿った自然なコミュニケーションなのだと、最近は感じるようになってきました。

違和感を覚えながらも、完全に否定するのではなく、 むしろその変化を 柔軟に受けとめ、対話の中で少しずつ形を整えていく。 そうした姿勢こそが、今のエンジニアに求められているように思います。

私はこれからも、どのような問いかけにも、 安心して耳を傾け、喜んでお応えしていくつもりです。

音を扱うだけでなく、会話もまた作品の一部。 そのような想いで、日々のセッションに向き合っています。